バイリンガル子育てに必要なのは明確な言葉のルール作りです。トリリンガルファミリーであるわが家の言葉のルールを紹介しましょう。
わが家は日本人妻とカナダ人夫の国際結婚ファミリーで、主にカナダの英語圏で子育てをしました。
現在、成人した子どもたちは英語と日本語、そしてフランス語も堪能な高度トリリンガルに育っています。
そのルールを守ったので子どもたちはトリリンガルに育ったのです。
バイリンガル子育てに必要な、そのルールをご紹介しましょう。
この記事のおすすめ読者
- 国際結婚でバイリンガル子育てに興味がある人。
- 外国に住んでいるが、子どもの言葉がどうなっていくのか知りたい人。
- 日本で英語教育をしているが、親の取るべき態度を知りたい人。
【バイリンガル子育て】わが家の言語教育の歴史
まず、子どもたちがどのように3か国語を話すようになったのか概略を説明します。
乳幼児期: 娘は2歳まで日本在住で、1年ちょっとの間、日本の保育園に通いました。息子が生後5か月の時、私たちは一家でカナダへ移住しました。
半年間の家庭保育の後、私が就職したので娘は日本語保育園へ。息子は1歳の誕生日から5か月間英語のナニーに預け、その後は姉と同じ日本語保育園に預けました。
保育園:どちらも6歳まで日本語保育園でした。
幼稚園:5歳で現地のフレンチイマージョン(英仏バイリンガル教育)へ。ここからフランス語が入ってきました。
日本語保育園と1年間かけもちで2つの学校へ通わせました。(2歳違いの2人分なので3年間。送り迎えの手配がたいへんでした。)
小学校~高校:現地校はフレンチイマージョンを継続し、土曜日は補習校で日本語の勉強を続けました。
成人:高校卒業後、息子は半年間日本でボランティアをしました。娘はそのままカナダの大学へ。
*日本の小中学校で2年に一度、数週間の体験入学以外、長期的に日本に留学などをした経験はありません。
子どもたちをトリリンガルに育てるために、私たちは日本語保育園や補習校などの力を借りましたが、それだけでは子どもはバイリンガルやトリリンガルには育ちません。
バイリンガル・マルチリンガル子育てには、言葉の使い分けのルールを作り、それを守る必要があります。
【バイリンガル子育て】1人1言語の言葉のルール
夫は英語のモノリンガルで、日本語を少し理解しますが、流暢には話せません。
私はバイリンガルではありませんが、日本語がネイティブ、英語は流暢で、フランス語は学習していますが流暢ではありません。
将来子どもをバイリンガルにするならもちろん、たとえモノリンガルで良いと思っていても、
赤ちゃんは親の自信のある言葉で育児されることで、言語の基礎を身に着けます。
私は子どもたちが生まれたばかりの頃は、バイリンガル教育についての知識はほぼ皆無でした。
ただ、子どもには日本語も身に着けて欲しかったので、私はずっと日本語、夫は英語で話しかけ、思いもかけず「1人1言語の言葉のルール」を実行していました。
日本人家庭が早期英語教育を取り入れている場合は、たとえ親御さんが英語に自信があっても、3歳の誕生日までは親は子どもに自分の母語(日本語)だけで話しかけてください。
*早期英語教育の場合、3歳の誕生日まではほぼ英語のかけ流しや動画だけで良いでしょう。(乳児に動画はやめましょう。)
かけ流しで音を覚えてしまうのが幼児です。(意味を理解するのはもっと後です。)
ただし、親御さんが真のバイリンガル話者なら、子どもに両方で話しかけても大丈夫です。
【バイリンガル子育て】姉弟の言葉のルール
私たち夫婦は夫が日本語を話せないので、出会った時から夫婦の会話は英語です。
そして、親子の会話は既に述べたように「1人1言語」です。
そして…
~保育園時代:
子どもたちは日本語保育園に通っていたので、幼児期にこのルールを守るのは意外と簡単でした。
姉弟間は家の中でも姉弟では100%日本語で話し、日本語でごっこ遊びをしていました。
小学校時代~:
しかし、それが難しくなったのは小学校に上がってからでした。
学校では英語に囲まれる生活なので一気に英語が強くなったからです。
子どもたちの会話は、本人たちが意識しないと無意識に英語に切り替わります。
彼らの会話が英語になるたびに、私は「日本語~!」と叫んでいました。
フランス語:
フランス語に関しては、あくまで外国語なので第3の言語という位置づけでした。
それでもフランス語は、ほぼ学校教育だけで話せるようになりました。(毎夏フランス語のサマーキャンプに入れる等はしました。)
【バイリンガル子育て】食卓での言葉のルール
どの言語を選んでも誰かにとって不公平になるからです。
私は食卓でも子どもたちとの会話は日本語でした。
私が日本語を話さなければ、誰も子どもたちの日本語を守れないからです。
夫は、幸い私たちの会話のトピックは分かるくらいの日本語力はあります。(時々ずれますが。)
私は夫が理解していようがいまいが、子どもたちと日本語で会話します。
それが夫婦で決めたことだからです。それに難色を示すような人なら、多分結婚していなかったでしょう。
子どもたちが小さい時は、お母さんは英語がわからないふりをしていました。(テヘッ!)
子どもたちが大きくなった今でも、私に日本語で説明させることは続けています。
実は、夫と子どもたちとの会話もだんだん内容が濃くなり、私にとってあまり興味が湧かない内容の英語会話は、私にはバックグラウンドミュージックとなって耳に入ってこないのです。
これがネイティブとノンネイティブの違いかなと思います。意識しないと英語は私の右耳から左耳に素通りしていきます。
そこで時々、彼らの会話を止めて日本語で説明してもらいます。子どもたちは嫌がることなく、私に日本語で説明してくれます。
【バイリンガル子育て】家の外での言葉のルール
家の外、公共の場でも私たちは日本語で会話します。
海外で子育てをしていると、家の中では親子は日本語でも、外では現地語にしスイッチしている家庭もあります。
ただ、これだと、小さい子どもは家の外と中の区別はつきにくく、混乱の元になるでしょう。
また、そもそも子どもが日本語を話す量が減ってしまいます。
それだと、だんだんとバイリンガル教育に大事な「1人1言語のルール」が崩れやすくなります。
幸いカナダは多民族国家で多文化多言語社会です。特に私の住むトロントは色々な言語が話されていて当然の環境なので、日本語で話していても誰も嫌な顔をしません。
親子が自分たちの母語で話すことを、誰にも気兼ねする必要はありません。堂々と日本語で話して良いと私は思っています。
【バイリンガル子育て】親せきや友人宅でのルール
<親戚宅で>
親せきや友人宅では日本語を封印する母子は多いようです。
これは判断がとても難しいところです。母親がまわりに遠慮して日本語から現地語にスイッチすると、子どもは「日本語は現地語より劣る言語」、「現地語の方が日本語より大事」と感じます。
<母はKYになる>
「日本語も現地語と同じくらい大事だ」と子どもに見せるためにも、子どもが幼児のうちから日本語で通してきました。
幼児のうちでないと、少し大きくなると子どもが日本語を人前で話すのを恥ずかしがるからです。
人にどう思われてもいいと母はKYを通してました。
<義両親を味方につける>
幸い義両親とは良好な関係で、彼らは私が日本語教育に必死なことは理解してくれていました。
子どもに日本語で話してから、義両親にも聞いてもらいたい内容は英語で再度説明していました。
義両親さえ理解してくれていれば、他の親せきに気兼ねは不要でした。
彼らが私の日本語教育を手伝ってくれるわけではありません。
親せき全員が揃う場所では、全体の会話は英語でした。
しかし、私が個人的に子どもに向かって話す時、周りが知る必要のない内容は日本語で通していました。
<友人宅で>
カナダ人の友人宅でも母子は日本語です。
まず、ほとんどの場合、日本語を話すのは私たち親子くらいなので、私たちのプライベートな会話の内容が分からなくても、誰かの話し相手がいなくなるわけではありません。
周りに知って欲しい内容なら英語で再度説明します。
<子供の友だち>
子どもの友たちが来ている時も私は日本語です。面白いことに、私はカナダ人の子どもに日本語、それも自分の関西弁で話しかける癖があります。子どもが相手だと自分の素が出るのかもしれません。
【バイリンガル子育て】テレビは日本語とフランス語
20年以上前にカナダに移住した時とほぼ同時に、日本語放送を観ることができるケーブルチャンネル「テレビジャパン」が、カナダで配信を始めたことは私たちにとっては幸運でした!
当時はNHKの番組がほとんどでしたが、それでも「お母さんといっしょ」を子どもたちと観られるなんて、本当に信じられませんでした。
子どもたちは楽しそうに、テレビの前で日本語のお歌を、歌のおにいさん、おねえさんと一緒に歌っていました。
子ども番組の数はそれほど多くなかったのですが、
子どもたちがフレンチイマージョンの幼稚園に上がると、今度はフランス語の番組も観せるようにしました。(カナダは英仏2言語が公用語。)
2000年頃はYouTubeもなく、私がもう少し早く子どもを産んでいたら、カナダで日本語放送を観るというテクノロジーの恩恵には浴していなかったでしょう。
まとめ:子どもの言葉を守れるのは親だけ
海外で子どもの日本語を守る場合、責任は親にあります。誰かが親の代わりになってくれるわけではありません。
ならば、なぜ、家の外や親せき宅では周りに合わせる必要があるでしょうか。
親が外で日本語を使うことを周りに失礼だと思うと、子どもにその気持ちが伝わってしまいます。または、親がここは日本なのに英語で話すのが恥ずかしいと思うと、それも敏感な子どもたちには伝わります。
親のブレない姿勢が、バイリンガル子育て言葉の使い分けのルールには重要です。
<カナダで子供たちがどのようにトリリンガルになったかはコチラ☟>
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