英語育児の語りかけ目的で赤ちゃんにナニー(ベビーシッター)を雇う場合、訛りのある英語での語りかけでもよいのでしょうか? やはりネイティブ話者でないとほぼ意味がありません。
海外では、働く両親の代わりに赤ちゃんのお世話をしてくれるナニー(ベビーシッター)を雇うことが多いです。
その人の家に連れて行く場合もありますが、自宅に来てもらい、家事をしてもらいながら保育してもらう場合も多いです。
まだ保育園に入れられない年齢(1.5歳~2歳以下)だけれど、親が仕事復帰しないといけない場合、1日8~10時間ナニーに預けることになります。
この場合、
ナニー(ベビーシッター)は海外では移民が多く、その場合かなりきつい訛りのある英語(現地語)で保育をする人が多くなります。
訛りのある英語や完璧でない英語で語りかけられた英語育児の場合、赤ちゃんの言葉の発達にどのように影響するのでしょうか。
この記事のおすすめ読者
1.バイリンガル教育に興味がある人。
2.海外在住者の人。
3.国際結婚の人。
4.おうち英語に興味のある人。
英語育児の語りかけ:母語での語りかけが赤ちゃんには最適
たとえ海外に移住した日本人でも、乳幼児の間は親の母語(日本語)で育児をした方が良いのです。
人は赤ちゃんに対して母語で優しく接する時の方が、自分らしく愛情を表現できます。表情や声のトーンを含め、母語で育児する時に、赤ちゃんも親や保育者の気持ちを受け取りやすいように思います。
親や保育者が母語で自信を持って育児することで、赤ちゃんとの絆が強くなり、同時に完璧な発音、文法と語彙、表現力がインプットされ、正しい言語の基礎を身に着けられます。
英語育児の語りかけ:ナニー(ベビーシッター)はネイティブがいいの?
例1:ナニーは英語母語話者がいいの?
Multilingual Parentingというバイリンガル・マルチリンガル教育の相談サイトがあります。そこに、生後1か月の赤ちゃんがいる、ポーランド人とフランス人のイギリス在住のカップルからの相談があります。☞ Q&A: Does it matter which language the nanny of an infant speaks?
カップルは赤ちゃんが生まれた時から「1人1言語(それぞれの親が自分の母語で育児をする方法)」を実践しているそうです。
そして赤ちゃんが生後3か月になったら両親共に完全職場復帰するため、ナニーを雇う必要があります。
赤ちゃんが1歳になったら英語の保育所に預けるつもりだそうですが、
「英語母語話者のナニーがいいのか、そのような幼い月齢ならナニーの言語はどれでも構わないのだろうか」と相談しています。
回答者は、
としています。
(カエデ注:乳幼児の間はどんな言語の音でも聞き分けられますが、年齢が上がるとその能力は自然に閉じてしまいます。)
そして、英語母語話者のナニーを雇うことを勧めています。
その理由ははっきり書かれていませんが、外国語訛りのある英語を話すナニーより、赤ちゃんにとっては大事な英語の母語話者の方が良いからだと思います。
(しかし、英語母語話者でないナニーを雇っても構いません。その理由は後述します。)
英語育児の語りかけ:移民ナニーを雇うなら母国語で保育してもらう
英語のネイティブスピーカーのナニーの場合、料金が高くて雇えないということもあるでしょう。(移民のほうが安い場合が多いのです。)
例2:訛りのある言葉で保育すると
同じMultilingual Parentingサイトの他の相談で、スイスのフランス語圏在住ギリシャ人カップルが、8か月の赤ちゃんをナニーに預けなくてはいけないが、「ずっとギリシャ語で育児していたが、いきなり外国語になっても大丈夫だろうか」、そして「かなり強いスペイン語訛りのフランス語を話す人だが大丈夫だろうか」というものがあります。
☞ Q&A: How is a baby’s language development impacted by a nanny’s language and accent?
回答者は、「その月齢で外国語に触れさせても大丈夫」としています。
また、「スペイン語訛りの強いフランス語で保育すると、赤ちゃんが話し始めた時にナニーのような発音になるだろうが、年齢が上がりフランス語のネイティブスピーカーに囲まれると訛りも取れる」と回答しています。
そして、
理由は、ナニーが自分のもっとも楽な言葉で赤ちゃんと接することが、赤ちゃんとの絆を持ちやすいだろうとのことです。
(カエデ注:乳児の場合、最も近い保育者が自分の母語で自信を持って赤ちゃんに話しかけることが、赤ちゃんの言葉の発達には大事です。)
例3:カエデの場合
カエデは息子が1歳の誕生日前からカナダで働き始め、日本語保育園に入園できるまで、セルビア人のナニーに5か月間預けたことがあります。
彼女は訛りの強い英語で語りかけてくれていました。
息子の発話前に保育園に行き始めたので、息子の英語にどのような影響があったかはわかりません。
しかし、「セルビア語での語りかけをお願いすればよかった」と、今では思います。
その後、子供2人とも、英語ではなく100%日本語の保育園を6歳まで続けました。
保母と保父さんは皆日本人でした。
そして子供たちは正しい日本語の基礎を身に着けることができたのです。
子供は乳幼児時代に現地語と違う言葉(しかし保育者の母語)で保育されていても、現地の学校に上がったとたん現地語が瞬く間に優勢になります。
ですので、乳幼児に保育園や保育者の言葉が、現地の社会言語と違っていても大丈夫です。
英語育児の語りかけ:日本人ナニーなら幼少期を海外で過ごしたバイリンガル
今では日本でもナニー(ベビーシッター)を雇う人も増えていて、そのようなサービスを提供する会社も増えています。
また、英語熱を受けて、英語での保育やベビーシッターを提供している会社も多くなってきているようです。
その場合、
英語シッターの方が料金が高いならなおさらです。
乳児の場合:
赤ちゃんには良質の言葉のシャワーが必要で、英語語りかけ目的のナニー(ベビーシッター)ならば、英語ネイティブ、または幼少期を海外で過ごした本物のバイリンガルがよいでしょう。
園児の場合:
しかし、おうち英語をしてきた幼児(園児)の英語アウトプットが目的の場合は、特に英語ネイティブにこだわる必要はないと思います。それよりも、一緒に英語で遊べて楽しいナニー(ベビーシッター)が良いでしょう。
私は20年以上英語で勉強したり仕事をしてきて英語力は高いのですが、それでも赤ちゃんにインプットできるほど高いネイティブ並みの英語力は持っていません。
自分の子供たちも100%日本語で育てました。(おかげで子供たちの日本語は高度になりました。)
ただ、毎日でなく、週にたった数時間の英語保育で子供に英語力が着くかはたいへん疑問です。
まとめ:母語でなら保育は外国語でもよい
赤ちゃんは言葉はわからないから、訛りの強い英語でもよいのではありません。
良質の言葉のシャワーを赤ちゃんに浴びせる場合、その社会では外国語であり親の言葉と違っていても、保育者の母語で保育してもらうのが最も良いでしょう。
そしてそれが、赤ちゃんの外国語を聞き取る力を保持し、将来のマルチリンガル教育にもプラスになるでしょう。
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