バイリンガル教育その思い込みちょっと待った!


 

カエデ
こんにちは!マルチリンガル子育てのワーマン・カエデです。

海外在住者や国際結婚の当事者でも、バイリンガル教育について結構思い込みや誤解が多いことを知っていますか?思い込みや誤解はバイリンガル教育を間違い成功率を下げます。

私がよく聞く8つの誤解をご紹介しましょう。


その1:国際結婚ダブルの子どもは自然にバイリンガルになる、という誤解

海外では国際結婚ダブルの子どもの母親が日本人、父親が非日本人の組み合わせが圧倒的に多いですが、国際結婚をされている方でも、自分達親が子どもにそれぞれの母国語で話しかけていたら自然とバイリンガルになるだろうと思ってられる方が多いようです。

でも、親の言葉を子どもが自然に話すのは保育園、幼稚園や小学校に上がる前までで、学校に上がると一気に現地語が子どもにとって楽な言葉になり、日本語は隅に追いやられるか消えていってしまいます。そうならないためには日本語学校へ行かせたり、日本語での会話を続けるなど、親が頑張るしかありません。

カエデ
学校に上がった途端に日本語が弱くなります!

我が家の子ども達は日本語を自由に話します。私の日本の家族は子ども達と日本語で普通にコミュニケーションが取れることを、母親が日本人だから当然のことと思っています。陰でどれほどの親の努力があったかは知らないと思います。

その2:バイリンガルの子どもは言葉が遅くなる、という誤解

海外でもあえてバイリンガル教育をせず、現地語だけで子育てをする日本人家庭や国際結婚家庭はたくさんあります。2つ以上の言葉を同時に学習すると大事な現地語の発達が遅れるという考えがあるようです。

私の息子は生まれたときから日英2か国語、幼稚園からは日英仏の3か国語を使っています。彼は3歳の誕生日まで言葉らしいものが出ず私もやきもきしましたが、それだからといって日本語を止めようとは思いませんでした。その後はどの言語も発達していきました。

もし環境さえ整えば、子どもは5か国語くらいまでは大人より楽に話せるようになるそうです。ただ、複数言語の発達はシーソーのようなもので、1つの言語が伸びている時にはほかの言語が伸び悩んでいるように見える時があります。そして、そのような過程を繰り返して、言語はお互い強め合いながら伸びていきます。あせりは禁物です。

またバイリンガルやマルチリンガルの子どもは言語全般の理解力があるので、第3第4の言葉も速く習得できます。そして、言語だけでなく、バイリンガルやマルチリンガルの子どもはメタ認知力が高く、相手の気持を推し量る能力に長け、異文化や外国人を受け容れる寛容性があるというメリットを持っています。

カエデ
これらのメリットは子ども達を見ていて実感します。

その3:子どもは外国語を簡単に覚える、という誤解

海外赴任する家族に対して見送る人がよく言うのが、「海外に出れば子どもは外国語をすぐに覚えるから大丈夫。」というもの。このような間違った言葉はかけないでもらいたいものです。現地校のESL(英語を外国語として教えるクラス)の教師でさえもバイリンガル教育の専門家ではありません。「家でも英語で話してください。」と無責任なことを言う教師もまだいるようです。

「環境」が整っていれば子どもは大人よりは楽に外国語を話せるようになりますが、それでもある程度の年数が必要です。

現地語の下地がなく海外に出ると、子どもは現地語を話せるようになるのに2年、学齢期ですと学習が追いつくのに5~10年かかります。なのでその間、子どもは理解できない言葉に囲まれることになりストレスは相当なもの。学習の停滞が起きないように日本語での学習サポートと、日本語で友達と遊べてストレスが発散できる環境が必要になります。

現地語を全く話せない状態で海外に連れていかれ、いきなり保育園や幼稚園、現地の小学校に入れられると子どもはもう大パニックです。この状態をバイリンガル教育の言葉で「サブマージョン」といいます。これは、外国語の海の中で泳ぎ方を知らず、沈みながらもがいている状態のことです。

カエデ
サブマージョン状態はかわいそう。

現地校のクラスメートも、言葉が通じないと楽しくないからいっしょに遊んでくれません。そうなると、友達もできず、先生の言っていることもわからず、授業も理解できず、子どもにとって孤立したたいへん辛い状態になります。サブマージョン状態でも必死に言葉を鷲掴み(わしづかみ)して自分のものにしていけるのは、性格がとても外交的な子どもでしょう。

これが特に幼児、まだ保育園や幼稚園に通う年齢だと言葉そのものの発達がストップするので、大事な母語が育たず、その後の言語形成に大きなマイナスとなり、子どもの社会性の形成にもゆがみが出るかもしれません。幼児は、海外でも日本語保育園や幼稚園に入れて母語である日本語を確立させながら現地語に少しづつ慣れさせるほうがよいでしょう。現地語が英語の場合、日英語バイリンガルにするチャンスと思われるかもしれませんが、いきなり現地語だけの環境に長時間入れると子どもが壊れるかもしれません。

幼児連れの海外転居時に気をつけることは、別記事「海外赴任の幼児連れは言葉に気をつけて!」をお読みください。

その4:日本語は将来また勉強すればいい、という誤解

海外では、バイリンガル教育のために、週日は現地校、土曜日は日本語学校や補習校に子どもを通わせて頑張る永住者や国際結婚家庭がたくさんあります。そのうちに子どもの第1言語はやはり現地語になっていき、子どもにとって日本語を話すことがだんだん楽でなくなっていきます。

また、現地校の友達が休んでいる土曜日に自分だけ学校へ行くことですごく損をしている気分になり、小学校高学年になると日本語学校を嫌がるようになります。そして、土曜日の朝には日本語学校へ行く行かないで親子のバトルになります。

そこで親も疲れてしまい、日本語教育を道半ばで止めていく親子がたくさんいます。その時に親ごさんが、「将来日本語を習いたくなったらまた勉強すればいい。」とよくおっしゃいます。でも、一旦日本語から遠ざかると一層日本語が使いづらくなり、子どもが日本語を再び勉強する確率は大変低くなります。

できれば細くても良いので日本語教育を途切れさせない方法を考えたほうが良いでしょう。

カエデ
細くてもいいから長く続けましょう。

その5:日本語は親が家で教えられる、という誤解

海外の地方都市に住んでいて日本語学校も通学圏内にない場合、日本人の親が子どもの日本語教師にならないといけなくなります。でも、親が子どもの日本語教師になるくらい難しいことはありません。

親子だとどうしても感情のぶつかり合いになります。親は子どもの日本語学習が進まないことにに苛立ち、子どもも親に反抗し、その悪循環で子どもが日本語や日本さえも嫌いになってしまうかもしれません。

自分は人並み以上に忍耐強いという自信がなければ、なるべく第3者も交えた日本語学習を取り入れると良いと思います。スカイプのオンライン学習を使ったり、同じ地域に住む日本人と学習グループを作ったりなど、仲間を作ることをお勧めします。

カエデ
なるべくストレスを軽減できる環境作りを。

その6:日本語学校に入れたら安心、という誤解

海外の国際結婚家庭で、家庭ではそれほど日本語を使わず、学齢期になってから日本語をあまり理解しない子どもを日本語学校や補習校に入れる親ごさんがいます。日本語学校に入れたら先生がどうにかしてくれると考えるようです。私の子ども達の世代まではそれでも学校に入れていたようなのですが、今後は日本語学校に入ることも難しくなるかもしれません。

というのも、近年国際結婚家庭が増え、日本語学校や補習校に子どもを入れる家庭も増え定員オーバーになってきたからです。最低限先生の指示が理解できるよう、入園や入学時に日本語のテストをする学校も出てきています。

また、日本語学校や補習校に入れたとしても、子どもの日本語の宿題を手伝うまでは手が回らない家庭もあります。家庭学習がないと日本語が伸び悩みます。授業についていけなくなり、クラスメートと雑談ができず楽しくなくなり、そして日本語学校を辞めたくなります。

 

カエデ
日本語学校や補習校に入れる前も入れた後も、親のサポートが必要不可欠ですね。

その7:バイリンガル教育は中学校卒業までで十分、という誤解

海外でも、日本語は中学卒業くらいまで勉強したら使えるようになるだろう、と思っている親ごさんは多いと思います。日本では、中学校を卒業したら、たいていの子ども達は新聞が読めているからです。ですが、日本語に触れる機会の少ない海外では、中学卒業の15歳まで日本語を勉強しても使えるとまでは中々いかないのです。

カナダの日本語学校で土曜日に3時間、10年間日本語を勉強した高校生は、平均して、読みは小学4年生、作文力は小学2~3年生、書ける漢字は小学2年生レベルの子どもが多いようです。そのうえ、海外の永住や国際結婚家庭の子どもで、15歳まで日本語学校を続ける子どもはたいへん少ないのが現状で、学習年数が少ないと到達レベルはもっと下がります。

このように、海外に暮らす子ども達の日本語のレベルは、日本在住の子ども達に比べると5年以上の差があり、使える日本語にするためには少なくとも20歳くらいまでの学習が必要です。

カエデ
使える日本語にするには20歳以上が目安。

その8:日本語学校、子どもが辞めたいと言うから、という誤解

子どもが日本語学校を辞めたいと主張し、子どもの意思を尊重して、「後で文句を言わないように。」と念押しして辞めさせたとしても、成長してから、「なんで辞めさせた?」と文句を言われるかもしれません。

これは世界共通のようで、英語で検索しても、成長してから自分が母語を保持しなかったことを後悔する子どもがたくさんいます。そして、子どもが嫌がるので母語保持教育を止めた親のことを非難する(成長した)子どもはたくさんいます。

カエデ
継承語を勉強せず後悔している人はたくさんいます。(勉強を再開する人は少ないです。)

子どもは楽なほうに流れる傾向があり、私の子ども時代を考えても、長期的な展望など持っていませんでした。子どもが日本語学校を辞めたいと言ったときは、長い視野で考えることのできる親ごさんが、子どもとじっくり話し合ったほうが良いでしょう。

まとめ:あせりは禁物

このように、バイリンガル教育には誤解や思い込みが多いことがお分かりいただけたでしょうか。私もバイリンガル教育を系統立てて勉強するまではそのような言葉を信じていました。子どもを外国語の海の中で溺れさせたくなければ、また、子どもにバイリンガルになってもらいたければ、まず親ごさんがバイリンガル教育を理解することが大事です。

時間をかければ子どもには潜在的に言語を習得する力があります。大事なのは子どもの能力を信じてあせらない事ですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

参考:

クリックお願いします!