カナダで仕事するなら知っておくべき10のこと-海外なら有名企業への転職もOK

最初は日本と違っていて驚きの連続でした。カナダでは転職は当たり前。人がどんどん入れ替わるし仕事に関して日本とは違う考え方で働いています。カナダで仕事するなら知っておいた方がよいことを10取り上げました

 

カエデとは ☞ >> 大人になってから英語とフランス語を習得したマルチリンガル。IBM、キャノンなど有名外資系及びグローバルカンパニーにて勤務。カナダ在住。

 

結論から言いうと、カナダのほうが縛りがゆるく働きやすいです。

会社によって違いはあると思いますが、多分この記事に書いてあることを基準に考えてもらえたら大丈夫です。最後までお付き合いください。

 

この記事を読んでわかること

  • カナダの就職事情
  • カナダの職場の雰囲気
  • 海外で働くにはどれくらいの英語力が必要か

 

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【カナダで仕事するなら】就職事情を知っておこう

海外に出て働くと、日本の新卒一括採用や年功序列、終身雇用がいかに特異であるかがわかります

日本では法律によって正社員を解雇しにくい仕組みになっているって知っていますか?

ですので、会社が不況などの理由で社員の数を減らしたくても「解雇できない時はパワハラで自分から辞めるよう圧力をかける」などというブラックな状況になったりします。

そして社員のほうも、転職するには年齢制限がネックだったり、大企業の中途採用が少なかったりなどで、不満があっても今の会社にしがみついている人が多いのではないでしょうか。それだと雇用がなかなか流動せず、会社も社員も我慢し続けないといけませんよね。

カナダでは会社も社員も対等にお互いを選びあい転職も頻繁で雇用が流動します

 

1. 新卒一括採用はなく経験者のみ

カナダでは日本のような新卒一括採用はなく、空いたポストへの中途採用がほぼ主流です。

 

即戦力を求め、新入社員を一から教育するという概念がありません。だから実務未経験の人を正規採用することはほぼありません。また、職務経験やライセンスも海外のものは重要視されず、カナダ国内でのライセンスや職業経験が必要です。なので、海外で医師だった人でもカナダでまったく違う仕事に就いている人はたくさんいます。(同僚に元医師がいます。)

 

え?じゃあ、学校を出たばかりの若者はどうやって仕事を見つけるの?と思うかもしれませんね。

彼らは大学在学中にコープやインターン、ボランティアで自分の目指すキャリアに関連した職種の職業経験を積んだり会社にコネを作ったりするのです。大学在学中のインターンを積極的にやっていなかったり、大学で勉強したことが仕事に直結しないと、大学を出たけれど仕事がなかなか見つからないということになります。

 

大学卒業後すぐに就職したければ何を勉強しどこでインターンをしたかはとても重要です。

インターンをした会社に卒業後必ずしも就職しなければいけないということはなく、色々履歴書を出して一番条件の良い会社を選べば良いのです。また、大学での専攻は就職しやすいものとしにくいものがあり、やはりエンジニア系は就職に直結しやすいようです。

 

カエデ
カナダでは大学の名前より、何を勉強し、どんな職業経験を積んだかが重要になります。

 

では、大学は出たけれど仕事が見つからない人はどうするか。

もう一度目標とする職業に的を絞って学校に入り直したり、コンピューターが使えたりExcelができるなど分かりやすいスキルのある人なら派遣や契約社員で会社に入り込んでコネを作り、空いてるポストに正社員で雇ってもらう人も多いようです。

企業は良い人材をいつも探していて、派遣や契約社員で入ってきた人が優秀なら正社員に登用することは大手企業でも普通にあります。日本のように契約を何年も更新して結局は使い捨てにする風潮は主流ではありません。無給のボランティアも仕事に関連性があれば履歴書の職歴に書けます。とにかく職業経験を積むことが大事です。

 

2. 解雇はよくある

カナダで働き始めて一番驚いたのは初めて解雇の実態を目撃した時です。カナダでは会社都合で社員を解雇できます

会社都合といっても組織変更や業績不振などの理由は必要となりますが、理由はあってないようなものです。会社都合の解雇を「Layoff」と呼び、社員が何かしら間違ったことをしてクビになる「Fire」とは違います。また会社都合のLayoffの場合、会社は勤続年数によって退職金を出します。

 

外国映画でよく解雇された人が段ボール箱に自分の持ち物を詰めて会社を去っていくシーンがありますね。

実態はまさにそれです。解雇は当日、上司からではなく人事の人から別室に呼ばれ突然言い渡されます。そうなると勝手に社内を歩けず、人事やセキュリティの係員が横について自分の荷物を取りに行き、そこから建物の出口まで誘導されます。

その間、まわりの社員は会議室などに召集され、その現場を見られないようにします。なので映画のように同僚が見守る中段ボール箱を抱えて出ていく状態にはなりません。ただ、突然言い渡され同僚に挨拶もできないことはかなりショックであることは確かです。

 

このようなLayoffは結構よくあり、誰がLayoffされたと人づてに聞いたり、他部署の社員が知らない間にいなくなっていたりします。

最初は私もショックでしたがそのうちに慣れてしまい、知っている人の場合以外は話題にも出さなくなりました。Layoffは恥じることではありません。カナダでは誰にでも起こることで、明日は我が身かもしれないと思っています。

 

カエデ
最初はびっくりしましたが、慣れとは恐ろしいものです。

 

3. 有名企業からでもどんどん転職していく

日本の大企業でも終身雇用を維持するのはだんだん難しくなっていますね。カナダではもともと一生涯同じ会社で働くという概念はありません

 

カナダの有名な転職サイト、ワーコポリス(Workopolis)によると、一生涯1つの会社で勤め上げる人は全体の6%しかいません。最も割合が大きいのが転職を5回から10回繰り返す人で全体の28%。10回以上転職する猛者も16%います。合計すると転職を5回以上する人は44%で半数近くを占めることになりますね。カエデも5回は転職しています。

 

カナダでは誰もが知っている有名企業からでも社員は自主的にどんどん去っていき、また新たに人が入ってきて雇用が流動します。

日本のように有名企業の採用はほぼ新卒のみということはありません。

給料は同一業務同一賃金です。査定やインフレにより上がっていきますが、同じポストにいる限りいずれ頭打ちが来てあまり上がらなくなります。在職中の会社に上のポストの空きがない場合、上を目指す人は転職によってステップアップして収入を上げていきます

 

日本のように慣例的に途中入社の年齢制限が35歳ということはなく、経験がマッチすれば40代なら十分に大手企業に転職できます。

まず、履歴書に生年月日を書いたり写真を貼ったりなどプライベートな情報を載せることはあり得ません。もちろん面接で顔を見ればある程度の年齢や性別、人種はわかりますし、そのような差別がないとは言い切れませんが、日本よりは就職差別が少ないことは確かです。

 

日本のように転職を繰り返すと後は派遣や契約社員にしかなれないということはありません。あまり頻繁な転職はカナダでもマイナス要因となりますが、仕事の経験を積めば積むほどその人の市場価値が上がります

 

カエデ
でも人の入れ替わりが激しいので、仲良くなっても数年でいなくなるのが寂しいわね。

 

4. カナダには定年がない

カナダでは以前は65歳が定年でしたが、今では本人が希望すれば働き続けることができます

夫の会社には65歳以上の社員が何人もいるそうですし、義母も70歳まで働いていました。カエデマークの航空会社はお歳を召したCAが何人もいるそうです。

 

世界最高齢CAのベティ・ナッシュ

カエデ
この女性は世界最高齢CA,アメリカンエアラインのベティ・ナッシュさん。83歳。 (thepointsguy.comより)

 

ここでカナダの退職金について触れてみたいと思います。

有名なアメリカ系大手デパートのシアーズが倒産しましたね。カナダにもシアーズの店舗がたくさんあったので大きなニュースでした。そして倒産によって社員のために会社が積み立てていた年金を払えなくなるのではないかと大騒ぎになっていました。倒産の際は負債者への返済が年金より優先されるためです。

 

カナダの企業では、一般社員の場合、上で述べたように会社都合で解雇(Layoff)された場合以外は退職金というものはありません。その代わり、年金積立という形で社員と会社双方が給料の何パーセントかを投資信託で積立て、自己都合(または解雇)の場合、それを持って退職できます。

投資信託は外部の銀行が請け負い、会社でなく社員が投資先の商品を選び自己管理します。なので会社の業績には関係しませんが、景気の変動が投資信託の残高に影響します。

 

Layoffの場合は、上記の年金積立と、Severance Packageといって、勤続年数に応じて退職金が出ます。勤続1年につき最低1週間分が支払われることが法律で決まっていますが、会社によってはそれ以上支払われます。退職金に不服がある場合、弁護士を使って会社と交渉することも普通にあります。

 

*ただし、このような年金積立や保険などのベネフィットは、会社によって違います。

 

5. カナダで働くのに必要な英語力は?

英語が外国語である私たち日本人がカナダで働く場合、いったいどれくらいの英語力が必要なのか気になるところでしょうか

私も働きだす前はそれが最も気がかりで、働き出してもしばらくは英語に自信がありませんでした。

 

私は大人になってからアメリカに留学で2年半過ごし、日本では外資系の会社で働きカナダ人の夫と7年間暮らすという、普通の人以上には英語を使う環境にいたと思います。

日常会話はできましたが、難しい英字新聞は知らない単語がたくさんあってスラスラとは読めない状態でした。そして、カナダに移住して慣れる間もなく働き出したので、英語で、それも職場文化や習慣の違う環境の中では毎日緊張の連続でした。

電話が一番緊張して、電話が鳴るたびに、内容が簡単でありますようにと祈っていました。おかしなもので、取った電話の向こうが訛りのある英語だとちょっと安心したりしました。

 

で、結論はと言うと、働き始めたらいずれ必ず慣れるということです。カナダは移民が多いため、幸いカナダ人が外国人の英語に寛容であるという環境はありがたかったです。社員も半数くらいは何かしらのアクセントのある英語を使う人たちで、また、カナダ人でさえも皆完璧な英語を話し書けるわけではありません。

 

社外の人とのやり取りは主にメールのため、分からない単語は辞書で調べることができます。英語でのメールは日本のような「平素は大変お世話になりありがとうございます。」などの堅苦しいあいさつはなく、「Hi(ハーイ)」の一言で済みます。メールの内容も話し言葉でよく、論文のようなメールを送ってくる人はいません。

日常会話がある程度でき辞書を使ったら英字新聞が読めるなら大丈夫です。

 

働き出したら英語は慣れるものの、その前に英語面接を突破しないとなりません。これが一番の難関です。

 

英語ネイティブスピーカーであるマネージャーとの面接は緊張はするし、準備なしで受けては失敗します。

必ずネイティブと面接の練習をしてから臨みましょう。

 

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キャンブリーは初心者には難しい? こちらの記事へ ☞ キャンブリーは初心者にはコスパが悪い?

 

カエデ
英語は働き出したら慣れます。その前の英語面接が難関!

 

英語面接の質問には必ず聞かれるいくつかの定番があります。それらの質問に対する回答はかならず用意しておきましょう!
英語面接でよく聞かれる47の質問はこちらの記事を読んで参考にしてね!
☞ >> 【話せない人の英語面接】転職には47の定番質問に備えろ!

【カナダで仕事するなら】カナダの職場ってどんな感じ?

実際カナダの職場ってどんな雰囲気なのか説明しましょう。

 

6. 職場は他民族社会

カナダは他民族国家で様々な人種、言葉、文化が共存してます。

私の職場には400人くらいの社員がいて半数以上はカナダ以外の民族バックグラウンドも持っている人たちです。ターバンを巻いていたり、頭にスカーフ(ヒジャブと呼びます)をかぶっている人もいますよ。お祈りができる部屋も用意されています。多様性があることは外国人には居心地が良いものです。

 

職場に多様性があることの利点は。。。

  1. 違う文化や言葉があることを尊重できる。
  2. 人を肌の色で差別しない。
  3. 外国人の英語に寛容。
  4. 英語は人それぞれアクセントがあるので自分のアクセントが気にならない。
  5. ポットラックパーティでお国の料理が楽しめる。

 

カエデ
カナダは多言語多文化社会を国が奨励しその権利を保証しています。

 

7.上司と部下の関係はカジュアル、でもきっちり

カナダでは年齢によって上下関係はありません。

カエデが働き始めた時、学校を出たばかりのずっと年下の同僚にタメ口で話しかけられたときは、正直変な感じでした。(今はすっかり慣れました。)日本のように歳上というだけで目上扱いを受ける儒教の教えのないカナダでは、歳上でも同僚であり、歳が下でも上司であり、上下関係は役職で決まります。

 

カエデ
仕事は教えますが、先輩が後輩の面倒を見るという文化はありません。

 

上下関係と言っても、カナダの上司と部下の関係はカジュアルです。上司でもたいていファーストネームで呼びますし、権威主義的な態度を取る上司は好まれません。

ただ、カナダでは上司の権限が強く、使いずらい部下はクビにできます。そのため、カジュアルながらきっちり上下関係はわきまえていて、部下も上司に自分の能力をアピールしようとします。

 

一方日本では、法律で守られ正社員を解雇しにくい制度のため、難しい社員でもご機嫌を取りながら使い続けなければなりません。私も日本で態度の悪い部下に手こずった経験があります。態度が悪いとカナダでならすぐに解雇でしょう。

 

8. 飲み会はないけれどイベントはある

日本のように会社帰りに同僚や上司との飲み会はカナダではほぼありません。

でも仲良くなった同僚と出かけたり家に招待したりされたりはもちろんあります。

 

カナダ人は個人主義と思われがちですが、それでもチームワークは大事だと皆が口を揃えて言います。

誰かの誕生日には部署でランチに出かけたり、出産間近の同僚には、カフェテリアでベビーシャワーをしてプレゼントをあげたり等、皆でお祝いします。

 

また会社も色々イベントを用意します。夏には会社の裏庭でバーベキューをしたり社外でピクニックをしたりします。クリスマス近くは特にイベントが多く、皆がドレスアップした華やかなパーティや、社員の子どもを招待してキッズパーティ。また、社員がお国自慢の料理を持ち寄るポットラックパーティも一般的です。

 

カエデ
クリスマス時期は職場全体がウキウキ気分。

 

近年は環境問題を意識して、皆で清掃したり植樹したりなどのイベントもあります。

カナダでは会社帰りの飲み会や慰安旅行はないですが、結構イベントがたくさんある、というのが実感です。

 

9. 定時に帰る

私は日本で働いていた時はどの職場でも残業が当たり前でした。残業しないと仕事が終わらないのです。

また、主任という立場だった時に部長並みの責任を押し付けられ、圧力をかけられて大変だった経験があります。

日本は労働時間は長いのに生産性は先進国では最低レベルです。

 

カエデ
赤ちゃんがいたのに帰れず大変でした。

 

日本では若者が苦労するのは当たり前と思うのか、若い社員に不釣り合いな責任を押し付ける傾向があるように思います。カナダでは役職によって責任の度合いが異なるのが当たり前で、役職がなかったり低い役職の社員に重い責任を押し付けることはありません。

前置きが長くなりましたが、カナダではきっちり定時に帰る人がほとんどです

5時になるとサーっと波が引くように帰途につきます。しかし、残業したり朝早く来たりするマネージャーはもちろんいますし、能力をアピールしたい社員は残業してでも頑張ります。

ただ、カナダ人の考え方は、毎日定時に終えられないくらいの仕事量を社員に課するのはマネージャーの管理能力不足ということになります。仕事を終わらせられないのは自分の責任と思うカナダ人はまずいません。

 

10. 休暇は権利

日本から友人がカナダに遊びに来た時、休みが取れないからとたった5日間だけの滞在でした。上司に難色を示されたかららしいです。

十何時間ものフライトを使い、高い飛行機代を出してはるばる来てもゆっくりできませんでした。私も日本で働いていた時に、1週間の海外旅行でも社長に嫌味を言われました。有給を全部消化した経験はありません。

 

私のカナダの職場では新入社員でも3週間の休暇を与えられ、繁忙期でなければ一度に2週間までなら休暇を取っても良いことになっています。有給もほぼ全員が消化します。

カナダでは休暇はリフレッシュするために必要な権利です。

 

休み中に仕事は他の社員がある程度やってくれますが、本人がいないと分からないことは、休暇中だと言えばたいていのことは待ってくれます。それは他社の人に対してもです。カナダ人はそんなところはおおらかです。

日本人は会社を休んで旅行などしたら、職場の人たちに配るお土産探しに追われます。日本では休暇を取ることは職場に迷惑をかける行為であり、その埋め合わせのためにお土産を配るという考えです。

一方カナダでは休暇は権利であり、お土産配を買わないといけない雰囲気は皆無です。もちろん、旅先のお菓子等を買ってくる人もいますが、慣例ではありません。

 

また、休暇中に他の社員が代わりに仕事をしてくれても、まずお礼は言いません。休暇が迷惑という感覚はなく、当然の権利であり、自分も他の人が休暇中は代わりに仕事をするからです。

カエデ
仕事を替わってあげてもお礼は言われません。

 

同じように産休、育休も当然の権利です。また、子どもが熱を出して早退することに誰も嫌な顔はしません。周りから早く帰りなさいと言われます。

子どもを産むことや子どもが熱を出すことは自然のことで、子どもは国や社会の宝だからです。マタハラなどは存在しません。

最後に、カナダには陪審員制度があり、陪審員に選ばれると会社を何日も休んで裁判に出ます。これも国民の義務なので休むことは仕方のないことなのです。

 

まとめ:自分の能力を信じよう

以上が日本とカナダで働いた経験を持つ私が感じた職場環境の違いです。

日本で働いた経験のある人がカナダで働くと、英語さえある程度できればかなり楽だと感じるのではないでしょうか。なぜなら、無駄な気遣いの必要性がなく、役職による責任の所在がはっきりしているので、社員は仕事に集中できるからです。

日本人が身に着けている勤勉さや基礎学力の高さは、他の国では貴重な特質なので、カナダで働くことに興味のある人は自信を持って飛び出して欲しいと思います。

 

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