子供に身に着けて欲しい目標とするバイリンガルレベルは何ですか?言語の技能には3段階あります。今回はちょっと踏み込んだバイリンガル理論を説明しましょう。
子供にバイリンガル教育をしているパパママに問います。
「お子さんをどのレベルのバイリンガルにしたいですか?」
英語は話せるだけでいい?それとも読み書きも自由にできて、将来は仕事で使えるレベルですか?
実はそこまで考えてバイリンガルでの子育てを始める親ごさんは少ないのではないでしょうか。
バイリンガルの言語レベルには3段階あります。今回はそれについてちょっと踏み込んだバイリンガル理論を説明しましょう。
これを知っているのと知らないのとでは、お子さんのバイリンガル教育に大きく影響します。
バイリンガル理論に沿って、子供たちを高度トリリンガルに育てたカエデが説明します。
【バイリンガルレベルになるとは】レベルはさまざま
子供がバイリンガルになったとしても、バイリンガルレベルは本当に様々です。
聞けても話せかなったり、話すのは家族内で理解できる日常会話程度だったりが多いです。
海外永住親子の会話
海外(英語圏)の永住者や国際結婚家庭の子供で多いのは以下の3パターンです。
- 日本人の親は日本語で話しかける。子供は英語で返すか、英語と日本語を混ぜる。
- 日本人の親は子供が分かるレベルの日本語で話し、難しいと思う単語は英語にする。子供は英語で返すか、簡単な日本語を入れる。
- 日本人の親は日本語と英語のチャンポンで話しかける。子供はほとんどを英語で返す。
このように、子供が日本人の親にすべて日本語で話す子供は非常に少ないのが現実です。
海外永住の子供の日本語力
海外での永住家庭や国際結婚家庭は、学校があれば、週末に日本語学校または補習校へ子供を通わせる家庭が多いです。
しかし、海外では日本語は超マイナーな言語なので、子供も日本語学習にあまり身が入らず、なかなか使えるレベルまでには到達しないのが実情です。
中学3年生まで日本語学校へ行くと、最終的に到達する日本語レベルで最も一般的なのは以下の通りです。(学習内容が中3までという意味ではありません。継承日本語学校では、たいていの場合、実年齢より低い日本語教材を使います。)
- 日常会話はできる。
- 敬語は使えない。
- 読みは4年生。
- 書ける漢字は2年生。
海外永住の子供は、日本語力が弱いため、家族以外の日本人と日本語で会話することを恥ずかしがり、話さないのでいっそう日本語が伸びません。
日本での英語教育の場合
日本での早期英語教育も、幼児の間は英語教室やプリスクールで楽しくお歌を歌いダンスを踊っても、英語教室を止めるとすぐに忘れてしまいます。
また、幼児英語から上に伸ばせないのは、「英語での読書の習慣」がついていない場合が多いです。
子供は成長と共に思考が複雑になり、9歳を境に抽象的な話もできるようになりますが、英語での語彙力がそこまで着いていないのが原因です。
日本での早期英語教育を成功させた家庭は、幼児期に子供に読書の習慣を着けた家庭です。
子供を本好きにするには、乳幼児期にまずは母語(日本語)での読み聞かせから始め、様々な本を与えて読書の楽しさを教えます。
【バイリンガルレベルになるとは】言語の技能は3段階
外国語を習得する時の言語能力には3つの段階があり、そのどれを目指すのかによってバイリンガル教育の方法が違ってきます。
以前は言語の能力を、BICS(Basic Interpersonal Communicative Skills)=基礎的な会話能力とCALP(Cognitive Academic Language Proficiency)=認知・強化学習言語能力、すなわち学習に必要な言語能力、の2つに分けていました。平たく言うと、会話力と学習言語力です。
バイリンガルレベルは、しかし、今では以下の3段階が一般的です。
CF(Conversational Fluency)=会話の流暢度
CF(Conversational Fluency)=会話の流暢度:従来のBICS(会話力)のことです。
子供は外国に住めばすぐにその国の言葉を話せるようになると思われがちですが、それは迷信です。子供でも言葉に不自由しなくなるのに最低2年はかかります。 (ただし、9歳という丁度良い年齢で外国に出ると、それより短いかもしれません。)
カエデは20歳でアメリカに留学しましたが、やはり、年齢相応に会話に不自由を感じなくなるには2年かかりました。
DLS(Discrete Language Skills) ー弁別的言語能力
2DLS(Discrete Language Skills) ー弁別的言語能力:文字認識、音韻意識(単語が音で成り立っているという認識)、フォニックス(音と文字との関係についての認識)、アルファベットや漢字の筆順、基本文型、単文を形成する力のことです。
従来のCALPでは学習言語力レベルは1つでしたが、今ではDLSとALPに分けています。
DLSとは学習言語力の初歩段階を指します。
年齢にもよりますが、これも現地にいれば2年で習得できます。
ALP(Academic Language Proficiency)=教科学習言語能力
ALP(Academic Language Proficiency)=教科学習言語能力:従来のCALP。学年とともに複雑さや抽象度が増す学習言語能力のことです。
受け身の「聞く」「読む」だけでなく、より高度な「話す」「書く」などの産出力のこと。使用頻度の低い語彙や複雑な構文の読解力、会話力、作文力、発表力、応用力を指します。
言語形成期後半の9歳以降に飛躍的に伸びる力です。
【バイリンガルレベルになるとは】目指すのはALP?
上記の3段階で、バイリンガル教育を始める親ごさんは、将来的にはやはり3番のALPのバイリンガルレベルを子供に着けて欲しいのではないでしょうか。
つまり、日常会話だけでなく、外国語を使って勉強したり、仕事にも使える言語能力を身に着けて、世界にはばたいて欲しいと思うのではないでしょうか?
しかし、ALPは家庭だけでは伸びません。
【バイリンガルレベルになるとは】まとめ:継続がカギ
ALP(教科学習言語能力)を身に着けるには、途中で学習が中断せず継続することが大事です。
海外での日本語教育や、日本での英語教育は、20年スパンで考える必要があります。
ちょっと気が遠くなりますよね。言葉というのは、子供の内面や知識の成長と密接に関係します。子供時代に英語が流暢でも、大人になるまで英語学習を続けなければ、子供の喋る英語で止まります。
海外で育つ日本ルーツの子供の日本語も、たいていの場合子供の話すような日本語レベルで留まるのは、途中で日本語学習を止めたからです。
高度なバイリンガルレベルにするには、息長く言語学習を続けさせることのできる環境作りが大事になってきます。
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参考文献: