バイリンガルになりやすいのは何歳までなんでしょうか?移住や駐在するならどの年齢が最適なんでしょうか。
このブログを読まれている方々の中には、海外移住を計画していたり、海外駐在が決まり期待と不安に胸を膨らませていたり、おうち英語の実力試しに親子留学を計画されている方もいるかと思います。
そのような時、「語学とは何歳までに勉強を始めたらよいのか」、「バイリンガルやバイカルチャーになりやすいのは何歳までなのか」という疑問が出てくるでしょう。
(子供によって個人差はあります。)
カエデはバイリンガル教育を勉強しながら、カナダで2人の子供を日英仏語で読み書きまでできる高度トリリンガルに育てました。そして、駐在や永住家庭など、たくさんの家庭のバイリンガル教育を見てきました。
なぜ9歳が海外に出てバイリンガルになりやすいのでしょうか。カエデが疑問にお答えしましょう。
この記事のおすすめ読者
- 海外駐在予定の人
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- おうち英語をしている人
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バイリンガルになりやすい条件とは?
子供が海外に出て現地語とのバイリンガルになるには、以下のような条件が必要になります。
- 外国語の音を耳で拾える
- 発音を再生できる
- 完璧な文法が身に着きやすい
- 母語(日本語)での会話の基礎ができていて読み書きができる
- 異文化に拒否反応を示さず好奇心旺盛
- 現地校の勉強に追い着ける
では、バイリンガルになりやすい条件を1つずつ見ていきましょう。
外国語の音を耳で拾える
赤ちゃんは自然界にあるどんな音でも聞き分けられます。
その能力も1歳の誕生日を過ぎる頃から頻繁に聞く音、つまり母語の音に限定されていき、思春期を境にどんな言葉の音でも聞き分けられる能力は閉じてしまいます。
思春期を過ぎてから外国語を習うと、練習である程度は克服できても、どうしても聞き分け難い音があります。英語ではLやR、SとTHがそれですね。日本語にはないRやTHの音を、日本語にあるLやSの音として聞いてしまうのです。
子供の「黄金の耳」は素晴らしいですね。
発音を再生できる
外国語の歌で意味が分からなくても子供は聞いたまま歌うことができるのもこの能力があるからです。
カエデの子供達は5歳からフレンチイマージョン*に通い、毎朝始業前にフランス語でカナダ国歌を歌っていました。5歳の子供もはフランス語の意味はわからなくても聞いた通りに歌うことができるのです。(*フレンチイマージョンとは、カナダの英語話者の子供にフランス語で教科学習させ英仏語のバイリンガルを目指す教育システムです。)
言い換えれば、思春期以降の外国語の勉強は、自然に聞き取れない音を練習によって聞き取れるようにし、練習によって発音できるようにしないといけません。
思春期以降に外国語を習うと母語の訛りが着くのがその理由です。ですから、思春期前、できれば幼児期から外国語を聞かせたほうが子供にとってはずっと楽に身に着けられるわけです。
完璧な文法が身に着きやすい
日本語ネイティブ話者の私達がなぜ助詞の「へ」、「に」、「を」、「は」、「が」などを使い分けられるのでしょうか。理由を説明できなくても、「このほうが聞こえがいいから」という理由で適切な助詞を選んでいませんか?これは子供の時から聞いて育っているので、馴染みの良し悪しが分かるからです。
英語も同じで、日本語にない観念、特に不定冠詞の「a」や定冠詞の「the」、無冠詞などは私を含め日本人は苦手です。前置詞も「to」、「on」、 「in」等どれがしっくりいくのか中々理解できません。
でも子供のうちから使っていると、理由を説明できなくても適切な冠詞や前置詞を使えるようになります。耳で聞いて覚えているからです。これも幼児期から外国語に触れさせるメリットです。
思春期以降の外国語学習は努力と膨大な時間が必要になります。それでもネイティブ並みにはなりません。
母語(日本語)の読み書きができる
母語の日本語で読み書きができると、その母語の力をバネに外国語を習得できるから早くなります。そして日本語で読み書きまでできていると忘れにくくなります。
小学校就学前の国語の読み書きを習っていない幼児が海外に出ると、発音は綺麗に真似ができても、文法などを含む現地語の全体としての上達には時間がかかります。それは、まだ言葉そのものの概念が育っていないからです。そして、日本語をどんどん忘れていきます。
幼児が海外に出る場合、どの言葉も不安定になりやすいので注意が必要です。日本語でしっかり自分の気持ちを話せる環境を確保しましょう。それについて書いたカエデの記事はこちら >>
海外赴任や移住などで幼稚園児を海外に連れ出す時は、子供の言葉の発達に十分注意しましょう。幼児は大事な母語がまだ確立していません。何歳から何歳までが危ないのでしょうか。 日本企業の海外活動に伴って、子供を連れて海外赴任する家族は多いです[…]
またその逆に、海外の学校で英語の読み書きを習ってから帰国すると、英語も残りやすくなります。
知人家族が2年のアメリカ滞在を終えて帰国した時は、上の子は9歳、下の子は5歳でした。その後10年経ち、今度はカナダへ引っ越しました。すると上の子は英語をすぐに思い出しましたが、下の子はすっかり忘れていました。アメリカを後にした9歳という年齢が丁度良かったのです。
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異文化に拒否反応を示さず好奇心旺盛
子供は大きくなるにつれて自分と違う人間や自分が育ったものとは違う文化を意識し始めます。
小さい子供ほど異文化を抵抗なく受け入れますが、幼すぎるとその国の文化を日本文化と比較することができず、無条件に受け入れ日本文化を捨ててしまいます。
子供は年齢が上がるにつれ外国文化を真似はしても違和感が伴い、思春期を過ぎると今度は真似ること自体に抵抗を感じます。
現地校の勉強に追い着ける
カエデも勉強嫌いな息子には手を焼きました。
海外に出て、日本人学校ではなく現地校やインターナショナルスクールに通う子供も多いでしょう。
未知の言葉を習いながら同時に学校教育を受けるのはとてもたいへんです。
その場合、現地の学校でクラスメートに追いつきやすいのが9歳頃までです。
その年齢を過ぎると、勉強が追い着くまでに5~7年かかると考えた方がよいでしょう。「子供だからすぐに言葉を覚える」とは大人の勝手な思い込みです。
海外に出るのに最も適している年齢は?
これらの要素を考えると、海外に出てバイリンガル・バイカルチャーになりやすい条件は以下になります。
- 思春期に入る前
- 未知の言葉の音を聞き分け、自分で発音できる力も残っている
- 外国語の文法が身に着きやすい
- 日本語の読み書きができる
- 外国人や外国文化に拒否反応を示さない
- 現地校の勉強に追い着きやすい
もちろん子供によって個人差はあります。
それより低い年齢でも外国語や外国文化が受け入れられない子もいるでしょうし、上の年齢でも現地化できる子もいるでしょう。言葉が分からなくても現地の子供たちに飛び込んでいける活発な子供ほど順応しやすいでしょう。
9歳は、日本の学校で読み書きもある程度習っていて日本語の基礎ができており、且つ、現地校の勉強もまだそれほど難しくなっていず、黄金の耳と発音の再生能力をまだ失っていません。そして現地では、現地校と補習校の両輪でバイリンガルを目指します。
まとめ
どの年齢の子供が、移住や駐在で海外に出ると最もバイリンガル・バイカルチャーになりやすいか、その理由と共にお分かりいただけたでしょうか?
このように9歳頃に海外に出ると、バイリンガル・バイカルチャーになる可能性が高くなります。
子供時代はたった数年が、言語や文化の獲得に大きな影響を与えます。「子供だから大丈夫」と安易に考えないほうが良いでしょう。
海外赴任や海外移住を考える時、まず大事なのは子供の年齢です。子供が現地に馴染めないと、「帰国」か「子供に我慢を強いる」ことになります。それを考慮して計画すると、スムーズに現地に馴染むことができるかもしれません。
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<参考にした文献>
ーThe New York Times, October 10, 2011, Hearing Bilingual: How Babies Sort Out Language
ー高橋基治 (2010)「第二言語習得研究からみた発音習得とその可能性についての考察 ―臨界期仮説と外国語訛りを中心に―」
ーKuhl, Patricia (2010) TED Talk. The Linguistic Genius of Babies
ーMIT New, May 1 2018 ‘Cognitive scientists define critical period for learning language’
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