【母語が命!】母語と継承語とバイリンガル教育の関係

こんにちは!マルチリンガル子育てブロガーのカエデです!

最近私のコンサルへのご相談に、「母語が大切とよく聞くのだが、よくわからない。」という内容のご相談があります。

母語はなぜ大切と言われるのか?うちは国際結婚だけれどどちらの言葉が母語なの?移住するなら現地語が母語?将来インター教育なら日本語より英語のほうが大事では?など、移住や国際結婚、インターなど、家族の形態や子供の教育もさまざまだと子供の言葉のどれに焦点を当てれば良いのか判断が難しいですね。母語とはいったい何なのでしょうか。そして海外で育つ子供に大切な継承語とは?

この記事を読めばバイリンガル教育に大切な母語と継承語の役割が理解できます。カナダで子供を高度トライリンガルに育てたカエデが説明します。

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母語とは何?

日本国内で日本語だけで育つモノリンガルなら意識せずとも育つ「母語」ですが、早期バイリンガル教育や海外転勤、海外移住の際には十分気をつけなければならない「母語」とはなんでしょうか。

国際結婚であろうが、海外移住、国内おうち英語教育をする場合でも、「母語」なくしてはバイリンガル教育は成功しません

母語の概念はとってもシンプルです。子供が生まれて初めて覚える言葉であり、すなわち親の言葉であり、親がその言葉を使って育児をする言葉です。ですから、海外でも日本人の親なら子供の母語は日本語であり、国際結婚なら我が家のように2つの言葉が母語になります。また、日本に親と共に来日した海外ルーツの子供の母語は彼らの父母の言葉であり、日本語ではありません。

そして何より大切なことは、将来バイリンガル教育をするにしろしないにしろ、移住永住によっていずれ母語以外の現地語が強くなるにしろ、幼児の間にどれだけ母語がしっかり確立するかによって、子供の将来の学力が左右される程「母語は大切だ」ということです。子供の言語の発達、ひいては学力には母語の力がとても重要になるのです。

母語の基礎は6歳までに出来上がるので、その年齢までに母語をしっかりさせておく必要があります。子供が母語に接する時間は1日10時間。5年間だと18,000時間となります。母語の確立にはタイムリミットがあるので、後戻りして母語を身につけさせることはできません。

将来海外移住するにしても、すでに移住して海外で子育てを始めていても、将来子供をインターに入れて海外留学させるにしても、幼児の間は、親が自信を持って完璧に話せる言葉で育児をします。

おうち英語で英語が得意な親ごさんでも、3歳の誕生日くらいまでは英語のかけ流しはしつつ、語りかけは日本語でしっかり日本語育児をします。

国際結婚の場合は父母の2言語育児となり、「1人1言語」を基本にします。英語のほうが有用で汎用性があるからと、ネイティブでない英語偏重の育児はしないほうがよいでしょう。わが家の場合、幼児の間は私は子供達に英語で話しかけませんでした。しかし、それでも夫との英語会話から、私の間違った英語や日本語のアクセントが子供に付いてしまったことがあります。*

(*ここで注意。カナダでの英語は、うちの子供達の場合は最も大事な第1言語になるので、特に子ども達に私の英語の間違いが付かないように注意しました。日本での英語教育は外国語教育なのでそこまで気にする必要はないと思います。よって、おうち英語で親が英語で話しかけてはいけないという意味ではありません。)

カエデ
母語とはすなわち親の言葉です。

継承語とは

母語の延長上に「継承語」という言葉があります。「継承語」とは、親から受け継いだ言葉、民族の言葉で子供のルーツとなる言葉です。海外で育つ子供にとって日本語は継承語となります。しかし、継承語がマイナー言語である場所では、儚く失われやすい言葉です。

カナダの最初の移住者はフランス人でした。現在も仏系の多いケベック州政府はフランス語の継承に心血を注いでいますが、それでも英語の影響力は年々大きくなっています。また、他の民族グループである、中国系やインド系、ギリシャ系などはコミュニティも大きいので一見彼らの継承語は受け継ぎやすいように思いますが、それでもなかなか難しいようです。

海外での日本語はどうでしょうか。カナダでは移民の少ない日本語はマイナー中のマイナー言語です。戦前移住者が日本語を保持したのはせいぜい2世くらいまでで、特に戦争があったので親が子供に日本語を教えなくなりました。今では日本語を話せる戦前移民の子孫はほとんどいません。

そして、戦後移住した私のような日本人の中には、日本語の継承にはこだわらない親御さんが多いように思います。日本語学校へは通わせるが無理をしなくてもよいという考えです。海外での継承語としての日本語教育は本当にたいへんで、(都市部以外では)学校がない、先生がいない、資金がない、国語でも外国語でもない継承語としての適切な教科書がないなど、「ナイナイづくめ」の教育となります。ですから親御さんも、無理をしてまで日本語を教える価値を見出せないのです。

また、私のように親が子供に日本語を教えようとしても、マイナー言語なので子供のほうが日本語に価値を見出しにくく、親の押し付けと感じます。日本語学校に通ったとしても、家庭学習は必須です。しかし、親もプロの先生ではないので、覚えてくれないと忍耐が切れて、間違うと怒ったりしてしまい余計子供が日本語の勉強を嫌がるという悪循環になります。そして、自我が芽生え学習が難しくなる4年生頃になると、子供の「日本語辞めたいコール」が始まり、親もその反抗に負けて日本語を諦めることになります。

しかし、継承語というのは、小さい頃には分からなくても、成長するとアイデンティティの拠り所となる言葉でもあります。そしてたくさんの子供が大人になってから、母語(継承語)を失ったことを後悔します。

海外で育つ日本人の子供だけでなく、たくさんの移民の子供達が成長後に、自分が継承語の勉強を嫌がったことを後悔し、親が子供の「辞めたいコール」で継承語教育を諦めたことを責めるのです。

カエデ
母語(継承語)を失ってから後悔する子供が多いのです。

バイリンガル教育と母語の関係

バイリンガル教育には母語が非常に重要という研究はすでにされています。

カナダのカミンズ博士は、移民の子供が母語を確立させることは、現地語の習得と学校の学習に非常に有効であるとしています。平たく言うと、「子供を現地語と学校の勉強ができるようにしたければ母語をしっかり教えなさい。」ということです。

カミンズ博士の言語の「相互依存の法則」では、子供が習う複数言語は相互に強め合いながら成長していくとしています。言い換えると、母語の力が第2の言語を伸ばし、またその反対も起こるのです。そして、「4~8歳ぐらいまでに母語を確立させておくと両言語にプラス。母語が確立していないとその後は母語も現地語も伸びないダブルリミテッドになる危険性がある。」としています。

カエデ
母語がしっかりしてこそバイリンガル。

国境を越えて生活する子供のアイデンティティ確立と情緒の安定にも母語(継承語)教育は大事です。国によっては髪の色や肌の色で差別を感じたりする場合があるでしょう。その場合、自分の民族の言葉や文化を知り帰属意識を持っていることで、アイデンティティが揺らぎ不安になることを軽減できます。

私の子供達は日加ダブル(ハーフ)ですが、見た目は日本人の血が濃く出ていて父親が白人には見えません。(実際娘のクラスメートが夫を見て、初めて娘がハーフであることを知り驚いていました。)子供達は自分を人種的には「日本人」または「アジア人」と呼び、そこにアイデンティティの揺らぎはありません。私は、子供達が自分のルーツである日本語も自由に使え、日本人や日本文化をよく知っていることが、日系カナダ人としての自信に繋がっていると感じています。

また、母語(継承語)教育は親子間のコミュニケーションと絆を強めるためにもとても大事なものです。国際結婚で外国に住んでいても現地語が得意でない母親が子供に日本語教育をしなかった場合、子供が幼いうちは現地語でのコミュニケーションが取れていても、会話の内容が子供の成長と共にだんだんと高度になると現地語で複雑な会話ができなくなります。現地語で高度な会話ができない母親を軽んじる子供もいます。

また、現在カナダで問題になっているのが、元移民の老親が高齢化で痴呆となって現地語(英語)を話せなくなり、老人ホームや病院のスタッフとの意思疎通も困難で、悲しいことに親の言葉を話せない子供とのコミュニケーションもできない状態になっています。

カエデ
高齢化で後から学習した言葉を忘れる場合があるそうです。

まとめ

このように、母語、継承語とバイリンガル教育には密接な関係があります。子供に母語(継承語)教育をすることは、さまざまな意味で大事なことだといえるでしょう。

参考:中島和子「JHLの枠組みと課題」、ジム・カミンズ「Bilingual Children’s Mother Tongue: Why Is It Important for Education」、山岡俊比古「小学校英語学習における認知的側面」

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