【悲報!海外バイリンガル教育】日本語は3世代で消滅する!?

いきなりですが、海外永住者で子どもに日本語教育をされている親御さんに悲しいお知らせです。

心血を注ぎ色々なことを犠牲にしてまで子どもに受け継いだ日本語もその次の世代、そうです、あなたのお孫さんには受け継がれないかもしれません。将来お孫さんとは日本語で会話はできないかもしれないのです。バイリンガル教育の分野では、継承語(親から受け継いだ言葉)は3世代で消滅するという説が有名です。

なぜ?それなら無理にバイリンガル教育をする必要はあるの?見ていきましょう。

海外での日本語は3世代までに消滅!?なぜ?

なぜ継承語は3世代で消えてしまうのでしょうか。

カナダは移民先進国および多文化国家として有名ですが、移民が持ちこむ継承語は世代を経るごとに消えていきます。トロントスター紙(2011年6月8日)*によると、カナダでは平均して40%の移民の子ども(第2世代)が親の言葉を継承しますが、孫世代(第3世代)になるとその割合は10%までに落ち込みます。ということは、90%もの孫世代はすでに継承語を失っているということになります。

カエデ
孫世代にはほとんど受け継がれないのね。

日本語を話すコミュニティが小さい

第2次世界大戦前までは日本から移民が新天地を求めて海外に移住していましたが、戦争で多くの国の敵国民となった日本人は、日本に返されたり集住することを禁止されるなどして海外日系コミュニティは崩壊しました。そして日系人は差別を恐れて自分たちの言葉や文化を封印しました。戦後もしばらくの間日本人は海外に渡航できず、そのため海外の日系コミュニティは他のコミュニティに比べて大幅に縮小し、日本語は海外では大変マイナーな言語となっています。

この図は世界で話されている言語を可視化させたものです(2015年資料)。(元のサイトへはここをクリック。)

このように日本語話者は1.28億人(2017年統計では1.27億人)はいるもののほとんどが日本国内のみです。海外では使う場所がないので子どもが日本語を学びたいという気持ちも起こりにくいのも頷けます。

海外の日本人(日系人)は日本人以外と結婚する

同じトロントスター紙の記事では、継承語が消滅する最大の原因は結婚によるとしています。結婚相手が違う民族バックグラウンドを持ち違う継承語を話す場合、民族の言葉が受け継がれにくくなります。

カナダの日系人はカナダでもっとも他人種との婚姻率が高い民族です。2011年のカナダ国勢調査に、79%の日系人(永住者も含む)が異人種と結婚しており、少数民族グループではずば抜けて異人種間結婚が多いと出ています。(下記表参照)海外の日本人コミュニティは小さいので異人種間結婚になるのは仕方のないことかも知れません。

Couples by visible minority group, Canada, 2011(少数民族の異人種間結婚資料:2011年カナダ国勢調査)

現地に公的な継承語教育機関が少ない

現カナダ首相ジャスティン・トルドーのお父さん、ピエール・トルドーが首相の座にあった時に提唱された多文化主義法(1988年可決)により、移民の子どもの母語保持のため、学校での継承語プログラムにたくさんの予算が当てられました。しかしその熱気が冷めた後は予算削減により縮小されていきました。それでも日本語教育は現存しており、現在トロントには高校での正規授業と学校管轄外の市民講座プログラムがあります。ただしトロントには、25名の生徒が集まれば言語教師を1人派遣するという制度があります。

海外には現地国の継承語プログラムに頼らず、海外在住日系人(日本人)が運営する日本語学校や企業駐在員が日本政府の援助も得ながら運営する補習校があります。特に在外補習校は日本独特な制度といえます。しかし、これらの日本語学校も都市部に集中しており、郊外や遠隔地在住日本人には通学不可能となり、また、海外永住者が無理をしてまで子どもを日本語学校に通わせるかどうかは親の判断に左右されます。

カエデ
遠いと日本語学校に毎週送ることは大変です。

親は現地語や現地文化を継承語や継承文化より優先する

第1世代である親は生活のために現地語を学びます。次の第2世代は現地語と継承語両方を身に着けることも可能ですが、前述のように多文化主義のカナダでさえバイリンガルになるのは40%程度に留まります。子どもの現地語が遅れ成績が下がると困るから、または早く現地の生活に慣れるためにと、学業や生活のため子どもには現地語のみを使わせる親もたくさんいます。そして第3世代の孫世代になると、ほとんどが現地語のみを話し、継承語を習いたければ家庭言語ではなく語学学校などでのみ習うことになります。しかし、生活の中に継承語がないとなかなか受け継ぐことはできません。

カナダの日系コミュニティは集会所で祭りや柔道・剣道などのレッスンを開催し、日本の食べ物や文化などの伝統を継承しようとしていますが、言葉の継承となるとハードルはぐっと上がります。日系会館に行くと日系人がたくさんいますが、日本語で話しているのはほとんどが日本からの戦後移住者である第1世代です。第2世代の子ども達も、日本語が話せても自信がなかったり、日本語ネイティブに自分の拙い日本語を聞かれるのが嫌で、特に思春期以降は外では日本語を話さなくなります。

カエデ
あえて日本語を封印する親御さんはたくさんいます。

日本語は習得が困難

Effective Language Learningというサイトによると英語話者にとって日本語は最も習得の難しい言語(習得に最低88週間)であるとなっています。英語から最も遠い位置にある言葉だからです。皆さんもご存知のように漢字の存在が日本語を難攻不落の要塞にしています。

小学1年生から漢字を習い始めて中学卒業の15歳でやっと新聞が読めるようになりますね。ただ、これは日本に住んでいる子どもの話で、海外定住の子どもは日本語学校に行っても15歳で新聞をスラスラ読めるようにはなりません。海外での日本語学習者は早くて20歳、それでも足りなければ20代前半まで学習を続け、日本で留学や仕事をしてやっと一人前になります。気の遠くなる長さですね。

海外でバイリンガル教育をする意味とは

では、世代を超えるといずれは消えていく可能性が大きい海外での日本語教育をする意味とは何でしょうか。

ルーツを知りアイデンティティを確立する

やはり人間には、自分がどこから来たのかルーツを知ることと、それによって確立されるアイデンティティが必要です。これは両親ともに日本人である子どもだけでなく、国際結婚で生まれたルーツを2つ持つ子どもでも同じです。2つあるから1つなくても良いのではありません。ルーツが2つあるなら彼らには2つが揃った状態が普通なのです。

多言語を話すわが子を見ていて思うことは、言葉と文化は密接に関係しており、言葉を話さないとそれに伴う文化は中々理解しにくいのではないかということです。私の子ども達は日本語が話せることによって日本文化をより一層理解できているように思います。私達は今年家族で日本に行き、成長した子ども達を歌舞伎や落語に連れて行きました。彼らは私が予想した以上に日本の伝統芸能や話術を生の日本語で理解しおおいに楽しんでいました。

カエデ
ルーツを失うほど悲しいことはありません。

親子の絆が強まる

子どもが親の言葉を話さず現地語だけの場合、また、親が現地語がそれほど流暢でない場合、言葉でのコミュニケーションが主流となる思春期以降親子の絆を結びにくくなる可能性があります。家での会話は毎日同じ生活言語に留まり、子ども達の進学問題や社会問題のトピックなどで意見交換ができないからです。そして思春期以降の子どもは現地語が話せない親の能力が低いと思うことがあります。

また、日本人家庭で日本語で話してるから大丈夫と思っていても、子どもの日本語レベルがだんだん実年齢から遅れていくと同じような問題が起こります。親子が自分の最も話しやすい言葉で年齢相応の会話をし絆を深めることはとても大事なことです。

バイリンガル・マルチリンガルは世界が広がる

言葉を将来の仕事に役立てる以外にも、なんといっても複数言語を話せることで子どもの世界観が広がります。バイリンガル・マルチリンガル話者は相手の気持ちを推し量り、相手の立場に立って物事を観察することが得意です。

我が家の子どもたちは、世界中のどの人種の人達も平等に尊敬されなければならないと思っており、世界中で起きている出来事も公平な目で客観的に見て判断しようとします。たくさんの人が複数言語を話せ繋がれることが、いずれは世界平和へ近づくことではないでしょうか。

まとめ:やはり意味がある

我が家の子ども達は2人とも自分に子どもができたら日本語を教えたいと言っています。これは私に対するリップサービスかもしれません。ただし、私は疑問視しています。というのは、子どもに継承語を残す作業は大変で、時には親が自分のエゴを通さないと子どもは着いてきません。我が家の子ども達はそのエゴを通すには優しすぎるのです。

しかし、たとえ孫に引き継がれなくても第2世代が継承語を話す意味は十分あると私は思います。親と同じ言葉を話し文化を継承することは、たとえ消えていく儚いものであっても素晴らしい挑戦だと言えるでしょう。

 

カエデ
今ではスカイプなどで日本と繋がれるから大いに活用しましょうね!

参考:*Immigrant languages thrive amongst first-generation Canadians, Toronto Star, June 8, 2011 

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